トリイソースは時代、時代に合ったソースづくりを行ってきました。

料理の主役は野菜や肉・魚といった食材であり、調味料はその主役の味を引き立てる脇役と考えています。
目指すべきは、ソース単体が「美味しい」ではなく、ソースと一緒になった料理の味が「美味しい」と言われる塩梅になるソースです。

パンチのある味のソースをつくろうすると、ついつい食品添加物の誘惑にかられます。
トリイソースはその誘惑に甘んじることなく、食品添加物を使わず自然素材の味を活かすソースづくりをしています。

長くなりますが、トリイソースが挑戦しているこだわりの数々をご案内します。

ペーストでないまるごと生野菜 ペーストでないまるごと生野菜

ソースづくりのこだわりその1

ペーストでないまるごと生野菜

「トリイのソースは野菜の風味がする」とご愛用者からよく言って頂けます。ソースの主役は野菜です。一般的なソースは、ペーストやパウダーを使うことが多いです。なぜなら、ペーストやパウダーなら野菜の品質が安定していてソースが作りやすいからです。

しかし、ペーストやパウダーでは前処理の段階でかなりを熱を加えて濃縮・乾燥します。その過程でせっかくの野菜の風味が失われてしまいます。風味が失われたペーストやパウダーからソースをつくっても、野菜の風味を感じづらくなってしまいます。

だから、トリイソースは生の野菜を丸ごと使います。野菜を丸ごと加熱すると、熱が野菜の中心にゆっくり伝わります。温度が60℃位を超えると野菜のもつ酵素は失活します。常温から60℃に達するまでゆっくり煮込むことで酵素を長く活性化させ、野菜のもつ旨味のポンテンシャルを最大限に引き出します。「ゆっくり」重要です。

また、トリイソースは煮込んだ野菜を裏ごしせず、石臼ですり潰します。それによって通常ならば捨てられていたであろう野菜の皮や種の部分も余すことなくソースの原料として使いきります。これが野菜の風味を感じられるソースの秘密でもあります。

速醸ではない自社製醸造酢 速醸ではない自社製醸造酢

ソースづくりのこだわりその2

速醸ではない自社製醸造酢

酸味はソースに欠かせない存在です。酸味があることでフライなど揚げ物があっさりとした味わいになり、料理の味にメリハリが生まれます。ソースの酸味は主にお酢に由来しますが、トリイソースはお酢を自社醸造しています。

一般的なお酢は、速醸法と呼ばれる方法でつくられ、ピュアな酢酸が出来ます。速醸法なら発酵時間も1時間で効率よくお酢が出来ますが、酢酸の純度が高い為、ツーンとした酸味になりがちです。

トリイソースは、静置発酵法という昔ながらの製法でまろやかなお酢をつくっています。静置発酵法は速醸法に比べて発酵に時間がかかります。酢酸菌が自然と発酵するのを待つため1カ月以上の時間がかかります。それでも他の発酵蔵に比べると短い方で、発酵時の種酢(生きた酢酸菌が入っているお酢)を半分使うことで、時間を短縮しています。種酢ゼロから発酵するとなると更に1.5倍以上の時間がかかります。

発酵したお酢は更に1カ月寝かし、出来上がったお酢の半分は種酢に再び使われ、残りの半分がソースの原料として使われます。寝かせることでお酢の酸味が落ち着き、まろやかなお酢になります。トリイソースのまろやかな味の秘密はお酢にあります。

粉末ではない原形香辛料 粉末ではない原形香辛料

ソースづくりのこだわりその3

粉末ではない原形香辛料

トリイソースでは、シナモンやナツメグ、クローブなど、甘さを引き立てる香辛料を多く使っています。一般的に香辛料はパウダー状態に粉砕してソースに入れます。パウダーにすると粒子は細かくなり、ソースの液体に触れる表面積は広がり、香辛料の香りは効率良くソースに溶け込みます。

話は飛びますが、市販されている胃薬は苦くないですか。実は、胃薬に入っている香辛料はソースに使われている香辛料と似ています。一部のソースが「薬っぽい」と評されるのは香辛料の苦味がソースの味に強く出ているからです。

ここが香辛料を使う難しいところです。香辛料の香りはソースに欲しい要素ですが、苦い味はソースの味を薬っぽくしてしまう。香辛料を細かくすると香りも味も強くソースに影響してしまう。そこでトリイソースでは、香辛料を原形(又は粗挽き)の状態で濾し袋に入れ、ソースの中に漬け込むことで香りだけをソースに溶け込ませ、味は邪魔しないようにしています。原形の香辛料で香りづけするには、粉末より必要量が多くなり、ある意味贅沢な使い方です。

さらに、ここでもうひと手間かけます。香辛料には、熱に強い香辛料と弱い香辛料があります。熱に弱いとは高温で使うと本来の味から変化してしまう香辛料のことを指します。そのため、漬け込む温度帯を2段階に分け、熱に弱い香辛料は温度が下がってから漬け込むようにして欲しくない香りはなるべく入れないようにしています。

即席ではない木桶熟成 即席ではない木桶熟成

ソースづくりのこだわりその4

即席ではない木桶熟成

トリイソースは、煮込んだウスターソースを木桶で熟成しています。熟成の際、香辛料の漬け込み温度を数段階に分けるソースづくりは日本でも稀有なものです。

木桶の熟成は、ソースの味をまろやかにします。パンチの効いた刺激的なソースをつくろうするならば、逆に熟成せず、すぐにボトリングした方が良いです。ワインやウィスキ―は熟成すると味わいは丸くなります。ソースも熟成することで味が丸くなるのは良い半面、塩角が取れすぎてしまうと味がぼやけてしまいます。トリイソースは、長年培った経験の中で、1カ月ほどの熟成が丁度良い塩梅に辿り着きました。

木桶の表面には細かい凹凸があります。凹凸があることで木桶の内側のソースに接する表面積は大きくなります。表面積が大きいとそれだけ熟成が進むと言われます。陶器やワインの木樽も同じ要領です。また、木桶は使っている木にソースが染み込んでいきます。熟成したソースを吸い込んだ木桶で保管することで、ソースの味が安定します。

新型コロナウィルスが流行した頃(2020年)、トリイソースは今までの製造方法をじっくりと見直す機会を頂きました。その結果、それまでの大きな木桶(12石)から小さな木桶(4石=720L)に入れ替えました。小さい木桶に変えたことで、熟成中の木桶に新しいソースを継ぎ足すことがなくなりました。

ソースを継ぎ足していた頃は、せっかく液体(上澄みのウスターソース)と固体(オリ)に分離していた桶の中のソースが再び攪拌されてしまい、澄んだウスターソースをくみ上げることが上手くできませんでした。木桶を小さくすることで、継ぎ足しがなくなり、液体と固体の分離が進み、ウスターソースの品質が平準化され、ソースの旨味が詰まった桶底ソースの安定的に確保できるようになりました。

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